Process

大船こころの相談室でのカウンセリングの進め方を解説します。

初回面接

最初にお会いする面接では「あなたがどのような事情を抱えているのか」「なぜこのタイミングでお申込みをくださったのか」を教えていただきたいと思っています。もしもあなたが「どんな話をしようか」「この話はしておきたいな」などと話す内容を準備をしてくださる場合は、あなたのペースに任せます。そのお話をお聞かせください。「何を話せばいいかわからない」という場合もご安心を。そのときはカウンセラーが話をリードさせていただきます。

あなたの困りごとを共有できたら「カウンセリングでどんなお手伝いができたらいいか」を話し合います。カウンセラーから見て、あなたの困りごとがどんなもので、どんなお手伝いができそうか、ご提案させていただきます。

初期:「こころの問題」をひも解く

カウンセリングでは多くの場合、あなたの困りごとが「どのように始まって、なぜ今も続いていて、どうすればよくなるのか」を一緒にひも解いていくことになります。そのために、「これまでどんな風に対処してきたのか」「困りごとがひどくなったり、逆に気にならなくなったりすることはあるか」といった話をします。「どんな家庭で育ったのか」「これまでの人生で何を大切にしてきたのか」といった話をすることもあります。それから「どのように傷ついてきたのか」という話も。

 

ときに人は、望んでもいないのに似たような困りごとに何度も苦しむ羽目になったり、困りごとから抜け出すための対処をしているはずなのに、事態がいっこうに良くならなかったりすることがあります。このような悪循環がある場合は、自分がその悪循環にどのように関わっているのかを見つめていきます。よかれと思ってしていることがかえって問題を複雑にしてしまうことがあるように、人はしばしば自分の行動によって困りごとを維持してしまいます。傷つきから身を守るために役立っていた歩き方が、今となっては関節や筋を痛めてしまうかのように。

 

あなたの困りごとが「どのように始まって、なぜ今も続いていて、どうすればよくなるのか」が見えてきたら、「カウンセリングでこんなことをすれば効果が出そうだ」という理解が出来上がります。面接の目標、面接の頻度、終わりまでの大まかな期間や回数などもおのずと決まってきます。また、困りごとが「どのように始まって、なぜ今も続いていて、どうすればよくなるのか」が整理されるだけでカウンセリングが不要になる方もいらっしゃいます。このひも解きをどれほどしっかりできるかで、その後のカウンセリングの成果が決まるといってもよいでしょう。

中期:「こころの問題」に取り組む

「こころの問題」がひも解かれて「こんなことをすれば効果が出そうだ」という理解が出来上がったら、あとはその方針にしたがってお会いしていくことになります。「こんなことをすれば」の中身は人によって違いますが、大きくわけて4通りの方法があります。

 

  1. あなたが置かれた状況を改善する「まわりを動かす」カウンセリング
  2. 新しい知識やスキルを身につける「足し算」としてのカウンセリング
  3. 身についてしまった癖を手放す「引き算」としてのカウンセリング
  4. あなたの良いところを支える「サポート」としてのカウンセリング

 

「まわりを動かす」カウンセリングは、あなたとあなたの周りの環境との間に生じている摩擦を解消するためにカウンセラーが第三者として積極的に介入するカウンセリングです。例えば、家族や職場の上司を呼んであなたの状態がよりよく伝わるように仲介したり、使えるかもしれない社会福祉制度や連携できる専門機関を紹介したりします。

 

「足し算」としてのカウンセリングは、あなたの知識や対処方法がより増えるようなやり方であなた自身が変わることを助けるカウンセリングです。例えば、カウンセラーから見て有効と思われる助言を取り入れられるか試してもらったり、ストレス対処のレパートリーを増やしたり、新しい対処のスキルを高める練習をしたりします。

 

「引き算」としてのカウンセリングは、以前は自分を傷つきから守るために必要だったけれども、今は苦痛がメリットを上回ってしまっているような考え方や行動の癖を手放すのを助けるカウンセリングです。例えば、普段ならしているような行動をあえてしないで過ごしてみたり、これまで十分な注意を向けられてこなかった考えや気持ちをカウンセラーに話すことを続けてもらいます。そんな日々を過ごしていると、日常が少しずつ変わっていきます。

 

「サポート」としてのカウンセリングは、あなたが健やかで自分らしくいるために必要な感覚を価値あるものとして守っていくためのカウンセリングです。多くの人は調子を崩したりカウンセリングを申し込んだりする時点で、その人の良いところを活かしていくための道のりを歩み始めています。カウンセラーはあなたがまだ自覚や自信が持てないでいながらも、確かにある健やかさや肯定的な変化に気づけるよう支えます。

カウンセリングのおわり

悪循環が解消されて問題が問題ではなくなったたとき、カウンセリングはおわりを迎えます。「まだ別の問題が残っていて、その問題についても取り組みたい」という場合には、新しくカウンセリングを仕切りなおすこともあります。

 

「とりあえず問題は解消されたけれど、今後も今の状態が続いているか心配」という方には、3か月や6か月など、長い間隔をあけて経過を見守るフォローアップ面接を設定することもあります。お守り代わりにご予約いただき、「この数か月間、身体や気持ちに大きな変わりはないか」「カウンセリングで得られた成果が変わらず続いているか」などを確認します。

 

また、目的が達成されていなくても、あなたは自由にカウンセリングをやめることができます。その時は、おやめになりたいお気持ちを教えていただければと思います。

 

途中で目的や頻度を変更するなど、一度決めた方針を後になって変更することもできます。「始めてみたけれど、どこか合わない感じがする」「この点に不安/疑問が残っている」「もっとこうしてほしい」「やっぱりやめたい」などのご意見があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。ご意見をもらって対話をしながら軌道修正していくことが、カウンセリングを上手く使うコツです。